日本の石臼(<ものくばり>と<ふくみ>の関係)

1.日本の石臼の特徴 

日本の石臼が中国から渡来した茶磨を手本としながら、投入口<ものくばり>が、中心から外れたところに
設けられ、上臼の凹み<ふくみ>を持つ構造になったか、その経過を推定してみよう。

茶磨が碾茶を抹茶にする特化したものであったのに対し、日本の石臼に求められたものは、雑穀(麦、蕎麦、
大豆、トウモロコシ等)を粉にすることであった。

中心に投入口を配すると、上臼を支持するためのリンズ機構が必要となり、石臼の複雑な加工が必要とされる。
模倣した日本の石工がより簡単な機構にするため、回転軸を外したところに投入口を持ってきたのでは
なかろうか。これは残念ながら、技術のレベルで見れば、進化ではなく後退である。

どのような形状のものでも投入できるよう、大きめの<ものくばり>が設けられた。
<ものくばり>から投入された原料が多すぎると、粉砕される前に、原料の粒がベアリングとなって上臼を上に持ち
上げてしまう。

これを防ぐために、上臼に凹み<ふくみ>を設け、原料を一時的に溜め込む空間を作った。
原料は<ふくみ>の空間に貯められた後、外周に向かって移動しながら、上臼と下臼の間隔が狭くなるところで
粉砕され、細粉化されていった。

原料を破砕するメカニズムは、凹凸のある石の面の間を転がすことによる圧縮粉砕が主であるので、原料の粒を
上から押さえ込むために、上臼の重量が必要となった。

このような経過をたどって、現在の形の石臼が作られるようになり、普及していったと考える。