1.鰹節だしの成分
  
   
鰹節100gを用いただし汁中の遊離アミノ酸組成表(単位g)

イソロイシン   0.033
ロイシン   0.042
リジン   0.075
含硫アミノ酸   0.028
芳香族アミノ酸   0.056
スレオニン   0.038
トリプトファン   0..004
バリン   0.055
ヒスチジン   2.955
アルギニン   0.012
アラニン   0.081
アスパラギン酸   0.022
グルタミン酸   0.036
グリシン   0.094
プロリン   0.042
セリン   0.034

  だし汁の中の遊離アミノ酸のなかで、ヒスチジン塩(5'イノシン酸=5'IMP)が飛びぬけておおい。
  鰹節に含まれるヒスチジンの70%がだし汁の中に溶け出している。これがだし汁の旨み成分である。



2.節の削り方
  
日本農林規格の定める削り節の厚さは
    薄削り:削り節を平らな削り刃で厚さ0.2mm以下の片状に削ったものをいう
    厚削り:削り節を平らな刃で厚さ0.2mm以上の片状に削ったものをいう

  「削りぶし」、「花鰹」は薄削りが主流であるが、「厚削り」は蕎麦店向けのものが多く、0.3〜1.0mmの
  厚みがあり、厚いものになると1.5mmに達するものがある。


3.煮出し時間とつめ加減
  削り節の厚みにより煮出し時間は変ってくる。
  「薄削り」の場合は、「沸騰寸前に入れ、もう一度沸騰したら直ちに火を止め、だしがらが沈んだ
  ところで濾し分ける」のが一般的な方法である。

  一方、厚削りの場合はだしを抽出する時間に煮詰める時間が加わり、お店によって差が出てくる。
  時間的には、20分から2時間と大きな差があり、30分と45分が一番多い。
  しかし、火力と容器の形により水の蒸発量が異なってくるので、何時間煮詰めたというよりも何%
  煮詰めたかのほうがより重要になる。

  藤村和夫著「そばつゆ&うどんだし」によると、有名蕎麦店5店の煮詰め具合は57%、23%、34%、22%、
  40%であったという。上のグラフでいうと、煮詰めの割合の高い範囲に入る。


4.加熱時間とエキス抽出量の関係

  
  

つめ加減 割合(%)
10%以下 32
10〜20% 29
20〜30% 19
30〜40% 14
40〜50% 4
50%以上 2

藤村和夫著 「だしの本」 p174 のデータによる

御茶ノ水女子大学家政学部の
吉松藤子教授による研究で、
削り節の厚みと時間による抽出
量の変化が調べられている。
実験は水の蒸発は抑えられており、
煮詰め効果は無いように捨てある。

浸出する全エキス分は、薄削りの
場合、時間に比例して増加するが、
厚削りの場合は40分までは急激に
上昇し、40分を過ぎると浸出量は減
少してくる。

旨み成分の5’イノシン酸は、薄削り
の場合、時間と共に僅かながら減少
傾向にあるが、厚削りの場合は40分
までは、増加するが、以降は緩い
勾配となる。

煮詰め効果を考えなければ、40分間
煮出せば、削り節の旨み成分は十分
に取り出せることになる。

同じく吉松藤子教授による
研究で、蕎麦屋で実際に
だし汁を煮詰めている状態
で、2分間隔で出し汁のサン
プルを採り濃度を測定したも
のである。

煮詰めによる濃縮効果がある
ので濃度は一気に上昇するが、
10分を経過する頃から、濃度が
横ばいになる棚が現れる。

煮詰め効果により濃度は上昇す
るはずであるが、横ばいになる
ことは、エキスが削り節の中に
戻っていることになる。

更に42分経過して時点で、濃度
の減少がみられ、はっきりと
味が薄くなっているといえる。
昔から蕎麦屋でいわれている
「だしが帰った」といわれる現象で
ある。


5.鰹節(本枯節)の量・煮詰率とだし汁の濃度との関係