そば粉の表情


美味しかったお蕎麦やさんから分けてもらった粉、いつもお世話になっている製粉所の粉、
そば打ち仲間から貰った粉、仲間と栽培した蕎麦を石臼で自家製粉した粉、と粉の種類は
多種多様、そして表情は皆、違います。
タイニーカフェテラスの永田文男氏にお願いして、そば粉の表情を電子顕微鏡でさらに拡大して
いただいた。そこにはそば粉の次元の違う表情が・ ・ ・ ・ 。

凡例  Id-○○: 電動石臼で挽いた粉        Ih-○○: 手廻し石臼で挽いた粉
     R-○○: ロール製粉機で製粉した粉    RId-○○: ロール製粉と石臼挽きを併用した粉
     M-○○: 高速回転ミルで製粉した粉     STM-○○: スタンプミル(杵突き)製粉

私がそば打ちを始めたときからお世話になっている東京練馬の製粉所の粉。
打ちやすく美味しい粉なので、初心者の私が打っても結構美味しいそばになった。
そば打ちを続けてこれたのもこの粉のおかげである。
スタンプミル(杵突き)製粉だが甘皮を石臼で挽き込んでおり、うっすらと緑がかった色の粉である。

 近くのお蕎麦やさんの粉。北海道産の抜き実を直径25cmほどの石臼で、毎分15回転
 の低速で1回挽きした全層粉。白いがしっとりとした感触の粉である。
 お店で出している二八蕎麦は少し茶色味を帯びた太めのそばで、田舎そば風の味わいがある。

Id-kuromatu(no.2)

Id-yana (no.1)

黒姫産の抜き身を都内のお蕎麦屋さんの石臼で挽いてもらった粉。
一番粉(花粉)が抜いてあるように見受けられ、澱粉粒子が大きめの粗引き粉である。
鬼殻が多少混じっているがごくわずかで食感を損なうほどではない。甘皮も細粉化されず
大きめだある。打ち上げたそばの食感は田舎そば風の大味なそばであった。

☆☆☆

☆☆☆

Ih-isibi (no.3)

石臼碾きにこだわり続けるお蕎麦屋さんの粉。
ご自分で目立てをした手碾きの石臼による1回碾きの全粒粉は、細粉から20メッシュの粗碾き
の粒子まで含み、粒度分布のバランスがよく、粗碾きの生粉打ちという難しいそばも容易に打てて
しまう。
打ちあがったそばの味は格別であった。打ち粉には友粉(同じ粉)を用いたので、そば湯も
生一本で、これまた美味しい味わいであった。


☆☆☆☆

Id-gun (no4)

田舎蕎麦の味を頑固に守っているお蕎麦屋さんの粉。
1番粉と2番粉の一部を抜いてあるので、粉は茶色味を帯び、野性味のある味わいになる。
江戸風のそばに慣れた口には、抵抗があるかもしれないが、昔から日本人が食べていた
そばはこういう味であろう。

☆☆☆

STM-ike (no.5)

☆☆☆

デジカメ接写

顕微鏡X50

顕微鏡x200

Id-hati (no.6)

静岡のお蕎麦屋さん「八兵衛」の石臼挽き自家製粉の粉。握るとククッと音がする。
玄そばから石臼で挽くため甘皮が細粉化されずにさな粉として除かれ、澱粉質の
多い粉となっている。鬼殻が僅か混じっているため、茶色味かかった色となるが、
プリプリとした歯ざわりの風味ある蕎麦になっている。

☆☆☆☆

SEM(小型走査電子顕微鏡)による写真
永田文男氏撮影

SEM(小型走査電子顕微鏡)による写真
永田文男氏撮影

SEM(小型走査電子顕微鏡)による写真
永田文男氏撮影

SEM(小型走査電子顕微鏡)による写真
永田文男氏撮影

SEM(小型走査電子顕微鏡)による写真
永田文男氏撮影

Id-jika1 (no7)

☆☆☆

常陸秋蕎麦の丸抜きを「石臼一番」で挽いたもの。 20%の量の甘皮を除去したが、
甘皮にくっついた澱粉もかなり捨ててしまった。
茹で上げると甘みと蕎麦の香りのする蕎麦となったが、切れやすい蕎麦になってしまった。